二代目サンタ

2/27
前へ
/32ページ
次へ
大自然を裂くように作られた階段。 丸太と石からできているところに時代を感じてしまう。 僕はそこを黙々と上っていき、頂上に着いた時には息を切らして、もう十二月だというのに半そで姿になっていた。 首筋を流れる汗はりんと冷たい風にふれ、僕の体を冷やしてくれる。 もっと舗装された階段もあるが、僕は毎日この階段を上る。 僕の目的地にはこの階段を使うのが一番の近道だからだ。 チリリン 階段を上ってすぐの扉を開けば、耳をくすぐるように鈴がなる。 僕の目的、それは僕が図書館と呼んでいる古本屋だ。 ここにはコアな漫画から、哲学、参考書の類まで何でも置いてあり、さらにそれを読むための大きな机が一つと椅子が数個ある。 僕はいつも暗くなるまで片っ端からそこにある本を読んでいった。 この店には僕以外にお爺さんが一人いて、僕と同じように本を静かに読んでいる。 この人はここの経営者だ。何度かお客の相手をしているのも見た。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加