5人が本棚に入れています
本棚に追加
大自然を裂くように作られた階段。
丸太と石からできているところに時代を感じてしまう。
僕はそこを黙々と上っていき、頂上に着いた時には息を切らして、もう十二月だというのに半そで姿になっていた。
首筋を流れる汗はりんと冷たい風にふれ、僕の体を冷やしてくれる。
もっと舗装された階段もあるが、僕は毎日この階段を上る。
僕の目的地にはこの階段を使うのが一番の近道だからだ。
チリリン
階段を上ってすぐの扉を開けば、耳をくすぐるように鈴がなる。
僕の目的、それは僕が図書館と呼んでいる古本屋だ。
ここにはコアな漫画から、哲学、参考書の類まで何でも置いてあり、さらにそれを読むための大きな机が一つと椅子が数個ある。
僕はいつも暗くなるまで片っ端からそこにある本を読んでいった。
この店には僕以外にお爺さんが一人いて、僕と同じように本を静かに読んでいる。
この人はここの経営者だ。何度かお客の相手をしているのも見た。
最初のコメントを投稿しよう!