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青年はゆらゆらと揺らめく炎を眺めながら、暖炉の中にまきを放り投げた。
「楽しかったかい?私を演じるのは」
「………うん」
後ろから聞こえたしわがれた声に、青年は振り返らずに返事をした。
「……なぁ、何であいつは帰れたのに、俺は帰れないんだ?」
しばらくして青年は振り返ると、そこにいる老人に対して言った。
老人はふくよかな体をいすにうずめ、見事な白ひげをうまくよけながら、おいしそうにスープを飲んでいるだけだ。
「何であいつは、他人がほしがっているものがわかるんだよ」
青年はいらいらとまた暖炉にまきを放り投げる。
「何でダッシャーはあいつもここに連れてきたんだよ」
「君を連れてきたダッシャーだ。きちんと考えがあったと思うがね」
老人は食事をし終えて、立ち上がる。
「さて、私は仕事に行くが、君ももう一度あのおもちゃの部屋を見てみてはどうだい」
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