二代目サンタ

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真っ暗になると僕は図書館を出た。 十二月の夜は寒くて鼻や耳が少し痛いけど、階段を下りる前に立ち止まる。 眼下にはきれいに配列した黄色やオレンジの光。 赤い光は線を描いて動き、黄色の光の中には赤と同様に動いているものもある。 何時からか眼下の景色を臨むのが習慣になっていた。 僕は一度深呼吸し、冷たい空気を肺に満たしてから、階段をおり始めた。 木々のざわめきと、月の怪しい光に包まながら。 帰り着けば、誰もいない家が僕を迎え入れる。 僕は一人っ子で両親は二人とも仕事で海外にいた。転々と移動する出張の多い仕事で、僕が高校に入ってからは日本で一人暮らしをしている。 二人ともなかなか帰ってこられないけれど、去年もクリスマスのときには帰ってきてくれていた。 今年も帰れると言っている。 ファザコン、マザコン、と言われるのはいやだけど、正直な話、それがいつも楽しみだった。 でも。 『ごめんね。今年は少し忙しくて、イブにちょっと日本に戻るけれど、帰れるのは正月過ぎそうなの』 その電話を受けたのは二十日の夜だった。 「うん、わかった。まぁ、仕事だし、しょうがないよ。それに高校生にもなって親とクリスマスはね・・」
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