二代目サンタ

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僕はふわふわのタオルと毛布を渡され、リビングの椅子に座らされた。 リビングの奥にある赤々と燃える暖炉を見るだけで、何だか体が温まった。 「あの、ここはどこなんですか?それに、あの鹿たちは……」 差し出された温かいスープには手を出さないで、おずおずと聞く。 「ああ、あいつらのこと鹿だと思ってんの。なら、ここがどこだか見当もつかねーな。俺のことも分かるはずがない」 青年は嘲笑を浮かべながら、乱暴に暖炉に薪をくべる。 「あいつらは鹿じゃなくてトナカイだ。俺は空飛ぶトナカイの飼い主」 「……サンタクロース」 僕は思わずつぶやいた。 「ご名答!俺はサンタだ」 僕はすぐには何も言えなかった。 そして噴き出して笑ってしまう。 「んな、馬鹿な!それじゃあここはグリーンランドか?」 サンタを名乗る青年は僕の反応を面白そうに見つめる。 「正確に言ってほしいなら、ここは非現実世界におけるサンタクロースの住んでいる場所・グリーンランドだね」 にこにこしている僕と同じぐらいの歳の男。
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