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どのくらい眠っていたんだろう。
すうっと意識が戻る感覚に眉を顰めて、遅れてやってきた頭痛に完全に目が覚めた。
ガンガンしてぐらぐらして気持ち悪い。
寒気が収まらなくて丸くなって目を閉じる。
一度去ってしまった睡魔は戻ってきてくれなかった。
静寂が耳に痛い。
部屋には自分の荒い呼吸だけが響く。
浦野はどうしたんだろう。
学校は休むって言ってたけど、自分の部屋にでも戻ったのかな。
暖かい掌に頭を撫でられる感触を思い出して、今ここには誰もいないことに無性に寂しくなってしまった。
「う、わ」
なんで俺、泣いてるんだ。全然とまらないし。
おかしいだろ、寂しいとか。ひとりなんていつものことなのに。
もう子供じゃないんだから。
子供のときでも、泣かなかったのに。
ぼろぼろと溢れる涙は生ぬるくて、頬を流れてはシーツへと染み込んで消えていく。
風邪なんか嫌いだ。
自分の弱い部分が浮き彫りになってしまう。
それでも今までは見て見ぬふりできたのに、あいつのせいでそうもいかなくなった。
「ばかやろー……」
姿の見えないやつに悪態を吐いて、俺はそろそろとベッドを抜け出した。
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