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そこから先はお互い喋ることもなく、なかなか寝つけずにいる俺の背を浦野があやすように叩いてくれていた。
ベッドの空いたスペースに腰掛けてただずっとそれを繰り返して、時々頭を撫でてくれる。
そうしているうちに瞼がだんだんと重くなってきた。
俺は布団の隙間から手をだして浦野の服の裾をギュッと握り、睡魔に逆らうことなく眠りに落ちようとする。
「おきるまでそこにいて」
随分と自分勝手な我が儘だっていうのは分かってるけど、弱っているときに誰かがこうやって傍にいる安心感が心地良くて。
返事を訊くことなく意識を飛ばしたのに、次に目を覚ましたときも変わらず目の前にいたときは不覚にも泣きそうになってしまった。
「お昼ご飯は食べれますか?」
12時を少し回った頃。
寝たおかげか朝より熱も下がったみたいで、楽とは言えないけど軽くなった体を起こしリビングに向かった。
椅子に座っているように言われたので言う通りにする。
冷蔵庫を物色する浦野に食べれると伝えると、「それは良かった」とどことなく嬉しそうに笑われた。
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