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「もしかして俺が寝てるとき近くにいたせいで、」
「あ、違!大丈夫です、大丈夫。昔から風邪とか全然引かないタイプだったんで!」
「……本当に?」
「本当に!」
両手を横に振る浦野が怪しくもあるが、本人が大丈夫って言ってるんだしそういうことにしておこう。
熱々のお粥を胃に流し込んでいるうちにお腹がいっぱいになってきて、そこまで大きくもないサイズのお椀が空になったのでスプーンを置いて手をあわせた。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。薬買ってきてあるんで持ってきます。ちょっと待っててくださいね」
そう言ってリビングを出ていった浦野に、ここまで至れり尽くせりだと逆に申し訳なくなってきた。
部屋を出るときにスウェットのポケットに突っ込んでいた携帯を取り出す。
父さんからのメールが一件と、瑛太から連絡アプリでメッセージが入っていた。
まずはメールの方を開封してみる。
『風邪は大丈夫?今日は美紀子さんとそっちに帰るので、それまでちゃんと安静にしてるんだよ(`・ω・´) 慧介くんにもよろしくね!』
……とてもじゃないけど、いい歳したおっさんのメールとは思えないなぁ。顔文字とか女子みたい……。
続いて瑛太からのメッセージを開く。
まず目に飛び込んできたのは普通の文字よりも色とりどりの絵文字だった。
今時女子高生でもそんなに使うかってくらいたくさんだ。
『今日学校休みみたいだけどどうしたの?環がいないと寂しいよー!そうだ、今度一緒に合コン行ってね!』
ちゃっかり最後の一文で合コンに誘うあたり瑛太らしい。
『風邪引いた。合コンはパス』それだけ打って送信。まったく困った友人だ。
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