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「はいこれ。もし明日も熱下がらなかったら病院行ってくださいね」
「ありがと」
錠剤がジャラジャラと音をたてる小瓶を受け取り中から薬を掌に出す。
水で一気に飲み下して息を吐いた。
そこでふと気づく。
いつの間に汗をかいてたんだろう。Tシャツが濡れてる。
べたべたして冷たくて不快だ。着替えて、ついでに風呂でも入ろう。
「タオルどこやったっけ……」
「どうしたんですか?」
「汗かいたから風呂入るの」
着替え……は上だけでいいか。
2階に替えのシャツとタオルを取りに行こうとリビングを出ようとしたが、何故か腕を引かれてとめられてしまった。
「なに?」
「いや、風呂は別にいいんですけどのぼせません?倒れられたら困りますよ」
真顔で言われたことにぽかんと間抜けな面を晒してしまった。
さすがにそれはない、と思うけど。
「心配しすぎじゃないか?」
「そんなことないです。まだちょっとふらふらしてるっぽいし、危ないですよ」
「えー……でもこのままじゃ気持ち悪い」
服が肌にひっつくこの何とも言えない感じが嫌だ。
納得がいかなくて睨みつけるように見上げると、浦野は少し考えた末に口を開いた。
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