「なまえ」

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「何か悩み事?」 「悩み事、っていうか……その、さ」 「うん?」 「お前と浦野、兄弟だって言ってたじゃん」 「ああうん、言った言った。それがどうかした?」 どうかした、と訊かれるとどうもしないんだけど。 上手く言葉が纏まらなくて眉間に皺が寄る。 「……カフェでも行こうか、ゆっくり話したいでしょ?」 「え、でも瑛太1限は」 「こう見えてちゃんと出席してるからだいじょーぶ。ほら」 「わっ!おい、引っ張るなよ!」 腕を引かれて方向転換。 向かうのはキャンパス内にあるカフェで、まだ朝の時間帯だからか人は疎らだ。 お互いアイスコーヒーを注文して窓際の日当たりの良い席に座る。 ミルクを入れてストローをかき混ぜれば、カランと涼しげな音が鳴った。 「んー、まず何から話そうか。訊きたいこととかある?」 「……その前に、ちょっと言いたいことがありまして。知ってるのかどうか分からないけど、まあ、多分知ることになるんだろうなーとは思うんだけど」 「なに、いきなり改まって。マジで彼女でもできた?」 「違う。だからさー、その」 そこまで言って一呼吸入れる。 向かい合って座る瑛太の目をジッと見つめて口を開いた。 「親の再婚で、浦野と兄弟になったんだ」 ぽかんと呆気にとられている瑛太に、俺がこんなことを言ってよかったんだろうかと今さら後悔が押し寄せてきた。
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