13人が本棚に入れています
本棚に追加
「……で、見つかんなかった訳だ」
机の所で頬杖をつき、窓の外を眺める紅葉は、声を掛けてきた桜子を見る。
驚いた顔をしている紅葉に対し、桜子はつり目がちの切れ長の目を細め、笑う。
「……何年友達やってると思ってるん?
紅葉の表情を見てたら、「知らない人」じゃないことくらい分かるやろ」
「……何年って、たったの一年でしょ。
それで私の何が分かるっていうの……」
いじけたようにぷいと横を向く紅葉に対し、桜子はまたクスッと笑う。
「一年もあれば、仕草とかで何となく分かるに決まってるやん!
アンタ、分かりやすいけん!」
紅葉はしらっとした目で桜子を見る。
「……また方言。
福岡弁……だっけ?
ここ、東京だし、標準語使えば良いのに……
一緒にいて恥ずかしい」
すると桜子は紅葉の肩をボンと叩く。
紅葉は叩かれた肩を摩りながら桜子を睨むと、桜子は豪快に笑う。
「ハッハ!!
そげなこつ、気にしとっと?
(そんなこと、気にしてるの?)
そげん好かんとなら、いくらでん、話してもよかよ!
(そんなに嫌なら、いくらでも話してあげて良いよ!)
……まぁ、こんな話し方してても、分からんだろうから言うけど、彼が「生徒」じゃなくて、「学校職員」かもしれない可能性は考えてみた?」
最初のコメントを投稿しよう!