巡り会ひて

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「……で、見つかんなかった訳だ」 机の所で頬杖をつき、窓の外を眺める紅葉は、声を掛けてきた桜子を見る。 驚いた顔をしている紅葉に対し、桜子はつり目がちの切れ長の目を細め、笑う。 「……何年友達やってると思ってるん? 紅葉の表情を見てたら、「知らない人」じゃないことくらい分かるやろ」 「……何年って、たったの一年でしょ。 それで私の何が分かるっていうの……」 いじけたようにぷいと横を向く紅葉に対し、桜子はまたクスッと笑う。 「一年もあれば、仕草とかで何となく分かるに決まってるやん! アンタ、分かりやすいけん!」 紅葉はしらっとした目で桜子を見る。 「……また方言。 福岡弁……だっけ? ここ、東京だし、標準語使えば良いのに…… 一緒にいて恥ずかしい」 すると桜子は紅葉の肩をボンと叩く。 紅葉は叩かれた肩を摩りながら桜子を睨むと、桜子は豪快に笑う。 「ハッハ!! そげなこつ、気にしとっと? (そんなこと、気にしてるの?) そげん好かんとなら、いくらでん、話してもよかよ! (そんなに嫌なら、いくらでも話してあげて良いよ!) ……まぁ、こんな話し方してても、分からんだろうから言うけど、彼が「生徒」じゃなくて、「学校職員」かもしれない可能性は考えてみた?」
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