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雑巾を投げ合う男子達、箒を持ったまま話続ける女子の群れ--
......溜め息が出るくらい、同じ光景。
そして目の前の「コレ」もいつもと同じ--
「ねぇ、紅葉(もみじ)さん......
......悪いけど、当番代わってくんない?
私、今日塾早くから始まるんだ~
ねぇ、良いよね?」
そう言って私の前で手を合わせるロングヘアーの彼女の爪は水色で白い花が咲き乱れている。
それに潤ませた瞳の上の瞼はきらきらして、唇はほんのり赤い。
どことなくいつもより白い彼女の肌と
後ろに控える彼女の友達のうずうずした表情を見た私は、無表情且つ棒読みで対応する。
「......うん。
早く行った方が良いと思う。
一人でも何とかなるから......」
すると彼女はわざとらしく私に抱きつき、喜びを表す。
「やっぱりOKしてくれると思ったんだよね!
本当ごめんね!
......今度、何かおごるからさ~」
「え、良いよ。
何か悪いから.......
それに掃除はやれる人がやれば良いから、気にしな......」
「じゃ、よろしく!」
彼女は私の言葉など最後まで聞く気はなかったらしく、友達と急いで走っていく。
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