思い出

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山野紅葉(やまのくれは)17歳-- 黒髪を二つに分け、三つ編みにした女子は、私くらいでしょう。 中学生の時からこの髪型で通してますから-- 初めて生徒手帳なるものをもらった日から校則だけは守ってきました。 生徒手帳をもらった日から校則を破ることが快感になった生徒もいるようですが、私は違う。 校則を破り、先生に怒られるなんて、何のメリットもないことに私は意欲が湧きません。 他の人はこれを「良い子ぶる」というようですが、私は動じません。 あなたたちが「校則を破る」という選択をしたのと同じように、私はただ「校則を破らない」という選択をしただけ-- 「選択をした」という点では、私もあなたたちも同じことをしている。 ......ただそれだけの話でしょ? まぁ、今の私の説明はこれくらいにして、中学校の時の私の話をしましょう。 校則を破らず、先生に従順だった私は、誰にとっても「都合の良い」人間でした。 だから掃除当番もクラス委員も押しつけられる。 はじめはそれだけだったけど、話が合わないという理由で、クラスの女子からハブられるようになりました。 段々私の周りに人がいなくなるにつれ、男子も腫れ物に触れるような扱いをし始めました。 私は特に何も感じなかった。 「これはいつもと同じ光景」 そう思うことがいつもの習慣になった。 でも黒須君と出会って初めて、私の光景は意味を持ち始めた--
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