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今日はあと数日で冬が終わりそうな陽気で、ついウトウトしてしまう。
巣の前で日向ぼっこをしていると母さんが巣から出てきて、
「町まで買い物にいってきてくれるかしら。」
と有無を言わぬ笑顔で言ってきた。
拒否権とかは無いんですね、わかります。
最近完璧にできるようになった変化の術で人族に化ける。
この時の容姿は金髪(毛先のみ茶色)に赤と金のオッドアイ。
このオッドアイは生まれつきで、狐の時も赤と金だ。
確かに他の人より変わった容姿だと自覚はしているが結構気に入ってる。
何故なら母さんの瞳の色は赤、父さんの瞳の色が金色がだからだ。
毛先が茶色なのは諸事情だ。察してくれると嬉しいかな。
母さんに買ってくるものを教えてもらい、町までの道のりをのんびりと歩いた。
リンゴくらい自分で買いにいってほしい。
町は相変わらず賑わっていた。
ここはこの世界でも五本指に入るくらい大きな町で、色々な種族が住んでいる。
僕らはこの町から少し離れた山にある大きな木の虚に住んでいるため、町の明かりがよく見える。
毎日お祭りみたいに明るくて楽しそうだったな。
さて、早くリンゴを買って帰ろう。
なんか結構じろじろ見られてるし。居心地が悪いなぁ。
「お嬢さん、可愛いね。お使い?」
突然怪しさ全開のお兄さんが話しかけてきたが僕は気づかなかったかのようにスルーした。
変態に近づくことはダメ、ゼッタイ。
「ねぇ、ちょっと。聞いてる?…………チッ」
舌打ちのあとに、嫌な予感がしたので逃げようとしたが間に合わず口を塞がれ、意識を失ったところを路地裏に引きずり込まれた。
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