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150万、200万、210万………………どんどん値段が上がっていく。
僕なんかにそんな価値があるとは思えないけど。
そしてついに、
「300万!」
「でました!300万!それ以上はいませんか?……いないようですね~。」
決まったようだ。僕は腹をくくって舌を咬み千切ろうとした。
━━そのときだった。
「それでは───「350万。その子を買おう。」えっ?!」
若い男らしき声が聞こえ、怪しげなお兄さんは狼狽えはじめた。
誰だろう……まあ誰でもいいや。さっさと死んでしまおう。
「俺の納めている領内で奴隷市なんてものを開いていいという条例は出した覚えがないぞ。
さっさと他の奴隷として売り出そうとしている人たちを解放しろ。
お前の顔は覚えた。解放しないというならば人相書きを領内全土に張り付けるぞ。」
「ち、畜生!いいさ!こんな町出てってやるよ!」
「……………逃げたか。
まあ解放したところで人相書きを張るのはやめないがな。」
この人、会話の流れ的にこの町の領主様?
なんでこんなところに………
「大丈夫かい?今目隠しをとるから。」
抱き上げられ、寝そべった体制から座った体制へと変えられて、優しい手つきで目隠しをとられた。
光が入ると眩しくて暫くは目を瞑っていたが、慣れるとそっと瞼を持ち上げて目の前の領主様であろう人物に目を向けた。
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