出会い

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 目の前には瞳と髪の色が茶色の顔が整った若い男がいた。  優し気に微笑んだその笑顔は、得たいの知れない安心感を抱かせた。 「……貴方、僕が怖くないの?」  僕は妖狐族なのに、この人は他の人間のように恐れたり蔑んだような眼差しを向けてこない。 「怖くないよ。むしろ愛らしいくらいだ。  君の親は?この町に来てるの?」 「………………」  変な人間。妖狐族なのに愛らしいなんて馬鹿じゃないだろうか。 本当に人間かこいつ。  思わず疑いの眼差しでみていると男は困ったように笑った。 「ああ、自己紹介をしてなかったね。ここの領主のイシュカ・フェアフュールングだ。  よろしく。妖狐のお嬢さん。」 「……………貴方、変な人間だね。妖狐の僕によろしくだなんて。  普通の人間ではあり得ないよ。」 「そうかな?  まあ他の人間は妖狐族にたいして誤解してるみたいだしね。しょうがないよ。」 「……貴方は妖狐族の話、信じてないの?  妖狐族が人族の領域に侵入したこと。」 「信じてないよ。あんなのでっち上げだ。  昔馴染みに妖狐族がいてね。  よく話を聞いていたんだ。」  妖狐族が人間と?そもそも妖狐族は僕らしかいないはずなのに……… 「……その妖狐族、どんな人?  容姿について詳しく教えて。」 「君と同じ髪色で琥珀色の瞳の男だ。  今でもよく話すかな。」  父さんだ! じゃあこの人は信用できる人なのかな…… 「じゃあ、貴方のことはたぶん信用できる人だと思う。  父さんが貴方と昔馴染みと言うなら僕は貴方を少しは信じる。」 「ありがとう。取り敢えず我が家で話をしたいから着いてきてもらえるかな?」  この人を完全に信用したわけではないけど、ついていった方が多分特だと思う。  僕は無言で頷いた。  立とうとして足に力を入れるも変な香水を嗅がされたせいか力が入らなくて、男をジーっとみていると男が察してくれたらしく、お姫様だっこで車まで運ばれた。  誰も姫抱きで運んでくれなんていってないはずなんだが。  解せぬ
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