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俺はこの町が結構好きだ。
住人はみんな笑ってて、とても楽しそうだ。
町を歩いてると此方も元気になる気がする。
いつも通り町を歩いていると、俺と同じくらいの女の子とすれ違った。
あんな子、この町にいたかな……
彼女から視線か外れなくて暫くの間ぼんやりと少女をみていたら、最近いい噂を聞かない商人に声をかけられていた。
助けなきゃ!そう思ったのに人が多くて思うように動けなかった。
そうこうしてる内に少女は連れ去られていた。
どうしよう、あの子は殺されてしまうのではないだろうか。
気が動転してうまく思考が働かない。
とにかくお父様に言いに行こう。お父様なら何とかできる。
俺は急いでお父様のもとに走っていって、少女が連れ去られた事を話した。
お父様はすぐに車を出して出ていった。
自分が子供であることがこんなに苦しいものだなんて考えたこともなかった。
あの子を助ける力が今の俺にはない。
ただあの子が無事に助けられることを祈ることしかできなかった。
━━暫くしてお父様が少女を抱えて帰ってきた。
少女はどこも怪我をしていなかったようだが何処か青白い。
何かあったのかとお父様に聞いてみると、
「車になれていなかったようで、酔ってしまったんだ。」
と困ったように話してくれた。
つまり彼女は怪我などは一切しておらず、酷いこともされていないと言うことだろう。
そのままお父様は客間に入っていってしまった。
彼女と話がしたい。
彼女のことが知りたい。
14歳にして初めて抱いたこの感情の名前を俺はまだ知らない。
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