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それから暫く屋敷の中を案内して、夜になったら両親と共に帰っていった。
別れ際に、
「今日はとても楽しかったよ、ウィル。」
「セラス、また会えるだろうか?」
「……君からそんな風に言われるとは思わなかったよ。
答えはもちろんYESだ。また遊ぼう。」
「う、うん。また!いつでも来ていいから。」
「……人間と友達になるなんて考えてもみなかったけど、悪くないね。
ウィル、僕は君と友達になりたい。
だからたくさん遊んで、お互いについて深く理解し合おう。」
「ああ。それじゃあ、また。」
「……ばいばい。」
セラスの姿が見えなくなった頃、ようやくその場から動いた。
屋敷内に入るとお父様がニコニコ(ニヤニヤか?)笑っていた。
「彼女と友達になったのかい?」
「はい。セラスはとてもいいこですよ。」
「そうか。まあ向こうはただの友達としか思ってないようだが……
まだまだ道は険しいようだな。
頑張れよ、あのタイプの女性は気づかないことが多いからな。」
父はなんの話をしているんだ?気づく?険しい?訳がわからない。
「……なんだ、お前自分の気持ちに気がついてないのか。
…………………それはそれで面白いからいいか。
まあ成長するごとに気がつくさ。
俺はまだ仕事があるから、明日の予習でもして寝なさい。」
「はあ、わかりました、お父様。」
腑に落ちないままお父様は書斎に入っていった。
ベッドに入ったあともあの時のセラスの笑顔が頭から離れなくて暫くの間眠れなかったためか、翌朝は爺の話によると隈が大分酷かったらしい。
眠い。
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