転居

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 馬車に乗り込んでからも二人は少し落ち着かなく、当主はウィルを見るたび吹き出すし、ウィルは僕を見るたび顔を赤くしていた。  取り敢えず落ち着くのを待つことにして約10分後。 ようやく落ち着いたらしい。 当主が話始めた。 「取り乱してしまってすまなかったね。  さて、取り敢えず君の名前なんだが……セラスだったかな?」 「ええ、まあ。正式にはセラススですが。」 「……ふむ。わかった。では君をセラスス・フェアフュールングとして学園に申請するよ。」 「お手数お掛けします。」 「なんの。フックの頼みだしね。」 「此れからは兄妹としてよろしくな!」 「何をいってる。僕の方が上に決まってるだろう。」  これだけは譲りたくないな。 「俺だろ。」 「僕だ。」 「俺」 「僕」  このあと暫くの間同じように言い争っていた。 終了の合図はフェアフュールング当主の言葉だった。 「そろそろ終わりにしなさい。もうすぐつくよ。」  僕らは顔を合わせて、同時に同じ言葉を発した。 「続きはまたあとで。」  取り敢えずウィルとは仲良くやれるだろう。 姉の座は渡さないがな。
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