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座り込んだあとも、追い打ちをかけるように二度、三度と全身を駆け抜ける感覚に筋肉が引きつる。
モモの言う身体を切る気持ち良さというのは、例えるならば凝った肩を鳴らしたりとスッキリするのに近い。
それとは全く異質な、モモにとって初めての感覚だった。
ナオトに触れられると、むず痒いような、身体の奥底から粟立つような、思わず身を捩ってしまう、それでいて嫌ではなくてむしろもっと触れて欲しい、身体の芯から熱を帯びていきような不思議な感覚だった。
熱に絆され朦朧としていく意識の中、ナオトを求める気持ちが昂ぶり、強く抱きしめさせた。
そうした循環がモモの中にまるで情熱が環流するかのごとく、とめどなく蓄積していった。
ナオトの歯が自分の肉を喰い千切った瞬間、"それ"は決壊し全身に暴力的なまでの波となって放たれたのだ。
頭の奥がぼうっとするほどの衝撃を持っていながらも、また味わいたいと思わせる強い中毒性を持っていた。
モモは人間がその感覚を"絶頂"と呼んでいることを、まだ知る由もなかった。
この感覚の原因が、ナオトに食べてもらえたことによるものなのか、それとも他者に直接噛まれたことによるものなのかは、どちらも初めてでモモにはわからなかった。
「んぐっ…!ふがんぐっ…!」
「わわっ!…ごめんなさい!!」
放心状態で余韻に浸っていたモモは、1分ほどのナオトを抱えたままだった。
もがき始めたナオトを、慌てて解放した。
どうしたら良いかわからず、しばらく動けずにいたナオトだったが、息苦しくなって離れようとしたが、思いの外モモの腕の力が強かったのだ。
「ぶはっ!!」
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