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* 8 *
高校に入って、笑美は髪を茶色に染めた。高校デビューというやつである。
その時点で嫌な予感はした。
しかし、私は娘の高校デビューを止めなかった。止められなかった。最近娘の気性が荒くなってきて恐かったし。
笑美は朝帰りをするようになっていった。
妻曰わく、彼氏はサッカー部らしい。きっとチャラ男だ。サッカー部とか、チャラ男ばっかのイメージしかないもの。
これは、一度話しをするしかない。
ある日、その日も朝帰りで、自室に戻ろうとした笑美を呼び止めた。
「おい、お前。ちょっと座りなさい」
「はあ?『お前』って何だ。自分の娘の名前も分かんねえのかよ。お前それでも親かよ」
返り討ちに遭った。申し開きのないくらいの正論に私はたじろぐ。
「あ、いや……、それは……」
「もういい。あんたに話すことなんてない」
話しがあるのはこっち……、と言う間もなく、彼女は自室へ閉じこもってしまった。
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