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それは人であった。 それは微かなうめき声を上げ、事切れる。 「あちゃー。私が捕まえた副会長さん死んじゃったよ~。美人さんだったのになー」 ルージュが死体をゴミのように蹴り上げた。 死体は、魔術会副会長のナタリー・ミラージュであった。 既に動かない彼女は、絶望の形相を浮かべている。 「やはり、美女の血はウマイなぁ」 魔王の娯楽としてただ殺された命。 そこに深い意味はなかった。 「もう直ぐに手に入れるよ。この日をどれだけ待った事か。さぁ、殺し合いを始めようか───────【三大処女神(ヴィーナス)】の一柱、【月女神(アルテミス)】を求めて!!」 蒼白に浮かぶ黒瞳の魔王は歓喜に酔う。 その漆黒の二翼からは、暗黒の魔力が滲み出す。 それは、二人の堕天使さえも呼吸を忘れさせる程に強力。 この魔王、格が違う───────
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