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「それで、椿くん。今付き合ってる子、いるの?」
晶子が間近に座る俊介の眼を直視して訊いた。
「晶子先輩にマジで訊かれると照れるなあ。実は、いまアプローチしてる女子がいるけど。それは、晶子先輩にも内緒」
そう言うと、俊介は立ち上がって椅子をもとのテーブル席に戻すとそそくさと自分の部屋に戻って行った。
「本当に照れてるのね、カワイイ」
そう言って、朋美が笑った。
「それで、プロムは学校の行事にするでありますね。それは、簡単に決められるものですの?」
イザベラが話題をプロムに戻した。
「それは、簡単ではないです。秋葉の校則によれば、学校行事の新設は生徒総会を開いて、そこで三分の二の賛成を得る必要があります。この三分の二という数字は、国会でもよく問題になるほど獲得するのは難しいと言われているものです」
さちえが答えた。
「ふーん。そうすると、役員会で企画案を作ってもそれが生徒みんなの賛成を得られるのかどうか分かるまでは、簡単に生徒総会を開けないということね」
朋美が言った。
「えーっつ。じゃあ、どうすれば良いの?」
晶子は、自分の責任重大さに初めて気付いた。
「役員会の企画案ができたら、学校のホームページに載せたり、説明会を開いたりして生徒みんなに内容や趣旨を理解してもらうことがまず必要だと思います。それから、生徒全員にアンケートをして、この企画案に賛成か反対かを訊いて、その時、みんなの要望も聴くようにしたら良いと思います。そのアンケート結果を見てから、生徒総会を開くかどうか決めたらどうでしょう?」
さちえが提案した。
晶子は、さちえがプロムのことを真剣に考えていることを知って、改めて感心した。
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