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翌日は土曜日だった。しかし、晶子と朋美、さちえの三人は朝から秋葉高の生徒会室にいた。プロムの企画案と全校生徒へのアンケートを作成していたのだ。
「うーん。なんとか企画案は纏まりそうね。あとはアンケートか」
作業机の後ろの壁に掛けたホワイトボードの傍に立って、晶子が唸った。ホワイトボードには晶子たち三人のアイデアがぎっしりと書き込まれてあった。
「アンケートはお昼ご飯を食べてからにしない?」
作業机にさちえと並んで座る朋美が発言した。
「そう言えば、おなかが空いて来たわね。あら、もう一時近いわ」
窓側のキャビネットの上に置いてある時計を見て、晶子は会議に夢中で空腹をすっかり忘れていたことに気付いた。
「でも朋美、わたしお弁当持って来なかったわ」
「わたしもよ、晶子。じゃあ、出前でも取りましょう」
朋美が上着からスマホを取り出した。それを見て、さちえが慌てた。
「生徒会室に出前なんてダメです。学校も今日は門が閉鎖されてますから」
「なーんだ。それなら、外に食べに行きましょう。気分転換にもなるしね」
朋美の提案で、晶子たちは商店街に行ってみることにした。
商店街を通って行くと、ランチをやっている喫茶店があった。中二階の席に落ち着いた晶子たち三人はスパゲッティ定食を注文した。
「ところで、プロムのことだけど。参加者は強制じゃなく自由参加にするでしょう。でも、男女ペアのカップルという条件は外せないわよね」
テーブルを挟んで晶子と向かい合う形に座る朋美が言った。
「そうね。プロムはやはり社交ダンスがメインになるでしょから。最初からカップルで参加してもらった方が主催者側としては楽だわ」
「でも、社交ダンスは生徒たちみんな、馴染みがないんじゃない。社交ダンスと聞いただけで、尻込みすると思うわ」
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