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「それは、ダンス部にお願いしましょ。希望者はダンス部の指導でレッスンを受けられることにすればいいわ」
「それなら、カップルが問題ね。まず、服装をどうするかよね」
「アメリカのハイスクールでは、男性がタキシード、女性はイブニングドレスが定番らしいです」
朋美の右隣に座るさちえが答えた。
「わたしは原則、制服で良いと思う。でも、みんな色々な趣向を凝らした衣装で参加するのも良いかもしれない。みっともない仮装はごめんだけれど思い出作りになるから。それで楽しいプロムになればいいと思うわ」
「そうね、晶子。でも問題はカップルよね」
朋美はカップルが気になるようだった。さちえが頷いた。
「アメリカでは、男子が女子を誘うみたいですよ」
「最近の男子は奥手だから、大丈夫かしらね。やはり、女子からも誘っていいことにしない?」
「朋美に賛成。それに、相手は秋葉高の生徒に限らないで、学校外から連れて来ていいことにしない?」
「それは名案ね、晶子。わたしは翔を相手が見つからない時のキープクンにできるから。晶子も桜田先生を誘えるしね」
「桜田先生って、誰ですか?」
さちえは晶子のお相手が気になるようだった。
「ああっつ。先生はわたしが尊敬している人なの」
「一樹さんとはカップルじゃないんですか?」
「わたし、一樹さんとは以前、付き合ってたこともあったけど。いまはただのお友だちだと思ってるわ。いまの一樹さんはさちえとの方がお似合いのカップルだと思うけど」
「晶子さん。そう言って貰えると嬉しいです。じゃあ、わたし頑張ります」
やがて食事が終わり、ウエートレスが食後のコーヒーをテーブルに並べて立ち去った。コーヒーカップを手にした朋美が何気に階下の客席を見た。
「あららーっつ。あれ、椿くんじゃない?」
晶子が朋美の指差す方向を振り返って見下ろすと、確かに、俊介が一人でテーブルについていた。俊介は時々、出入り口のドアを見ては所在無げにコーヒーをすすっていた。
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