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「あら、朋美だって翔さんがいるじゃない」
「そうだけど、このところご無沙汰で。ほとんど会ってないのよ」
「そう言えば、今年のお正月にスキーに行って以来、わたしも会ってないわ」
「そうでしょう。わたしも同じようなものよ。プロムをやるとなると、絶対に翔をキープクンにしておく必要があるわね。うん」
そう自分に言い聞かせる朋美だった。
翌週の月曜日、生徒会室では臨時役員会を開き、晶子たち三人がまとめたプロムの企画案とアンケート調査のやり方を廻って討議が行われた。
「うん。企画案はよく纏まってると思います。それに、場所を講堂にするとか、ダンス部や軽音楽部、ブラスバンド部の協力を得るとか、経費を節約する一方で生徒全員を何らかの形で参加させるようになっているので、手作り感もあって良いと思います」
生徒会長の一樹は満足そうに手元の資料を熟読した。
「ただ、アンケート調査には少し難がある気がします。この原案だと、プロムの企画案に賛成か反対かを問う形になっているけど、これは少し性急過ぎる気がします」
一樹の難色に、晶子が反論した。
「わたしたち、企画案には自信があるんです。だから、アンケートではっきりした回答を得た方が良いと思うんですけど」
「うん。企画案は良いと思うけど、それは僕たちの中だけのことでしょう?まだ何もプロムのことを知らない生徒たちに、いきなりその賛否を問うのは危険だと思うんだよね」
「危険って?」
「もしこのアンケートの結果で、反対が多かったらどうするの?一度、結論を出されたらそれを覆すのは大変だと思うよ」
「じゃあ、一樹さんはこの企画案じゃダメというわけ?」
「いや、企画案は良いから、アンケートのやり方次第でボツにしてしまうのは惜しいと思ってるのさ。だって、よく理解できてないのに先入観やその時の気分で賛否を決するようにしたら、残念でしょう。僕の言ってること伝わってるかな?」
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