第1章 コバルトブルーの場合

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言っては聞かされるダメ出し。相手にとっては、僕の漫画をもっと良い物にするつもりで言っている言葉なのだが、この時の僕にはただのうっとしい言葉としか感じ取れなくなっていた。 「君さ、アシスタントをしながら漫画を描いてみてはどうかね?君が描くジャンルとはちょっと違うのだけど。いま人手が足りない先生がいてね。」 「え、、、あ、はい!!」 編集者の言葉を聞くと、僕は即答した。そうだ、その手があった。画力向上にも繋がるし、なにか新しい発想が思い浮かぶかもしれない。 そして僕はその先生の部屋へと訪れた。その先生は戦争をテーマにした劇画タッチの漫画を描いてる先生だった。 「君がアオ君かな?よろしくね。」 「はい!よろしくお願いします!」 先生が連載している雑誌は、少年誌では無く、大人が読むような漫画雑誌であったが、そんな事はこの時の僕には気になりもしなかった。
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