3.まさかの……

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 そうであっては欲しくない反面、そうだったらと思う気持ちが勝り、変な汗が流れる。  仁君の次の言葉が怖い。 「兄貴だ……」 「え? お兄さん……?」  中性的な顔に、僕はてっきり女性かと思った。  それくらい、綺麗な顔をしていた。  それに、仁君とは全く似ていなくて、兄弟に見えない。 「そう。俺の兄貴」 「そ、そっかー。お兄さんか、僕てっきり恋人かと思った……」 「え……?」  でも、その反応を見て、僕は知ってしまう。 「恋人か…ふっ……そう見えるか……」  〝恋人〟に見えた。  それが仁君にとって、とても嬉しい言葉だったのだと。 「お前、いい奴だな」 「え……? そ、そうかな……」  仁君は嬉しそうに僕にそう言った。  その笑みを僕はずっと見たかったのに、心が切なくなる。  仁君は、実の兄に恋をしている。  その事を知ってしまったから。 「あ、もう時間か。行くか」 「う、うん……」  いつの間にか、ここを出る予定の時間になっていた。  僕は仁君の後に続き、部屋を出て、その指定された場所へと向かう。
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