402人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
そして、大広間に着くと、スポーツ科と特進科に分かれ、指定された席に座った。
そして、それから直ぐ寮長の挨拶が始まった。
でも、僕は何も頭に入って来なくて上の空。
そんな僕を熱く見詰める視線が一つ。
けれど、僕はその視線に気付かず、ただずっと、離れた場所に座る仁君を見詰めていた。
やっと近付けたのに、心は近付けない。
でも、そう分かっていても、諦める事ができず、自分は本当に仁君を愛しているのだと痛感する。
(好きだな…すごく……)
心がきゅうっと苦しくなるほど、すごく好き。
会う前よりも、更に好きが溢れるほど、好きだ。
(切ない……)
僕は上の空のまま、その時間を過ごし、勇が声を掛けてくれるまで、ずっと同じ体勢のまま座っていたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!