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4.溢れるほど好き
入学式が終わり、クラスにも慣れてきたそんな頃、とある人に声を掛けられた。
「ねぇ、君」
「はい?」
ふと、振り返ると、そこにいたのはスラリと足が長く、黒縁眼鏡で隠れているが、とても整った顔をした男が立っていた。
でも、僕の心は高鳴らない。
「木葉緑君だよね?」
「そうですけど……」
僕の名前を知っていたその男は、僕がそうだと答えると、嬉しそうに笑った。
僕はそれが怪しくて、一歩足を後ろに動かす。
「あぁ、そんな怪しまないでくれ。僕はこの学園の生徒会長をしている近衛響(コノエ キョウ)と言う者だ」
「生徒会長……?」
生徒会長と言われ、確か、寮長の挨拶の時に寮長の隣にいた男がそんな名前だったと思い出す。
「あ、こんにちは」
「こんにちは。で、今一人?」
「え…まぁ……」
今は昼休み。
これから食堂へと行こうとする予定だった。
けれど、そう返答してしまったので、僕は後ろ髪を引かれながら近衛会長の後を歩く事にした。
「緑」
「え……?」
でも、後ろからガシッと強く腕を掴まれ、その足が止まる。
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