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「じ、仁君?」
その相手は仁君だった。
僕は、なぜスポーツ科の仁君が別の階にある特進科にいるのかが分からなくて、驚く。
それに、掴まれた腕が痛い。
その痛みが、何か意味があるような気がして、僕は変に意識してしまい、ドキドキしてしまう。
「やぁ、天宮君。この間の練習試合良い結果残したようだね。中城君同様、期待してるよ」
「そりゃ、どうも」
二人は顔見知りなのか分からないが、少し、いや、かなり、ピリピリした空気が漂っていた。
僕は内心、大丈夫かなと心配になる。
「え? あの、仁君?」
「コイツ、俺と約束してるんで、話しは後にして下さい。いや、話さなくて良いんで」
そう言うと、仁君は僕の腕を掴みながら、スタスタと歩き出した。
僕は訳が分からないまま、仁君が進む道に進む。
その間、僕は言葉を発する事ができず、仁君が話すまで一言も話せなかった。
なぜなら、緊張しているからだ。
これでもかってほど、心臓が痛いくらい鳴っている。
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