4.溢れるほど好き

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 近衛会長を見た時には全く感じなかったのに、仁君に触れられただけでこんなにも心臓が痛い。  同室になってから数日経ったが、未だ慣れず、睡眠不足の日々は続いていた。  それくらい、仁君に好きな人がいても好きなままだった。 「……気を付けろよ」 「え……?」  食堂の手前にある自販機の前で仁君が止まった。  そして、パッと掴まれた腕を離される。 「あの会長、手が早いって噂なんだよ」 「え? そ、そうなの!?」  突然そんな事を言われ、僕は驚きのあまり声が大きくなる。  まさか、あの近衛会長が、初対面の僕をどうにかしようとでも考えていたのだろうか。  そんな勝手な思考が過る。 「お前は男にも人気があるって大谷が言ってた……」 「勇が?」 「だから、同室になったのも何かの縁だし、気に掛けてくれって言われてんだよ」  まさか勇がそんな事を言うとは。  なんて、幼馴染想いの男だろうか。
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