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0.プロローグ
物心ついた時から家には誰もいない事の方が多かった。
父は敏腕弁護士、母は有名女優。
そんな多忙な環境で育った僕、木葉緑(コノハ リョク)の家には常に最新のゲームやおもちゃで溢れていた。
欲しいと言った物は全て手に入り、そこまで欲しくない物も手に入った。
だから、今まで手に入らなかった物は何も無い。
それに、母に似たこの可愛らしいルックスから、友人達からチヤホヤされる事も多く、自分の存在位置が幼い頃から分かっていた。
ニコッと笑えば僕にコロッとなる男達。
人の心も簡単に手に入る。
そうずっと思ってた。
でも……。
『お前を好きになる事はない……』
生まれて初めて告白した結果、そんな言葉を告げられ、簡単に手に入ると思っていた心はそう簡単には手に入らない事を僕は初めて知る。
生まれて初めてこんなにも欲しいと思ったのに、それが手に入らないならと諦めようと思ったけれど、簡単には諦められない心。
こんなにも好きなのに、いくら好きだと言ってもこっちを見てくれないのはどうしてだろうか。
『こっちを見て欲しい』
そう言っても、全く見てはくれない。
だって、君の目に映るのはただ一人、ただ一人だけだから……。
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