1人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
『親愛なる御門へ。
この手紙を君が読む頃には、僕はきっとそこにはいないのだろうね。
どこから書けばいいのかは分からないけれど、まずは僕自身のことを書くとしよう。
僕が魔女の呪いを受けたのは、五歳の時だったかな。
ある日突然、僕が自分が死ぬまでの未来を見たんだ。
死ぬ間際の僕はそれはとても嬉しそうでね。未練など残さずに死んでいく未来だった。
僕の未来予知の力は、自分の未来だけではなく、他人の未来も見れるようでね。
次に、僕はこれから出会う人間の未来を見た。
その中にはもちろん君もいたし、如月や弥生、この『火の鳥』の団員もいた。
そして勿論、君が生まれ、魔導少女として目覚め、路地裏で大怪我を負って苦しんでいる未来も見たよ。
僕はその未来を見た瞬間、僕は君を救うためにこの未来予知の力を授かったのだと思った。
君を救う、そのためにこの組織を作ったんだよ。
だから、君に手を差し伸べた。
君がこの手紙を読んでいるということは、僕が見た未来を変えることができたのでしょう。
未来を変えることができるのは、魔法にとってのイレギュラーである魔導少女しかいないと予測した僕の考えは合っていたようだ。
そして、君は魔導少女としての力を失い、悲しむことができるようになっているはずだよ。
だから、君はもう魔導少女でも魔導師でもない、ただの一般人だ。
君が魔導に関わる必要はもうない。普通の生活を送ってくれてもいい。
もし、行くあてがないなら僕の後を継いで、『火の鳥』の頭領になって僕たちの家族を守ってはくれないかな。
経営に関しては弥生に一任すればいいし、魔法が使えなくてもいい。
君と言う存在が、この組織ではもう外すことのできない大きなものとなっているはずだから。
君は、ここにいてもいいんだ。
君が幸せになれることを、僕は祈っている
鈴凪睡蓮より』
最初のコメントを投稿しよう!