呪詛と憎悪

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「まずはここでの暮らしに馴染んでもらうよ。 話はそれからだ」 そう言って、各務原さんは私をおいて部屋を出ていく。 ぽつんと一人残された私はどうしたらいいのか分からずに立ち尽くしていると。 「おねーさん、だれ?あたらしいひと?」 幼稚園くらいの男の子が私の服の裾を掴み、引っ張る。 「ねーねー!いっしょに遊ぼー!」 その男の子の後ろから女の子も出てきて、私の腕を引っ張る。 「え、あ、えっと……」 「あ、貴女が各務原さんが言っていた澪ちゃん?」 私がどうしたらいいかわからずアタフタしていると、後ろから同じ年くらいの女の子が話しかけてくれた。 ボブヘアの活発そうな子だ。 「はいはいみんな、澪ちゃんを困らせちゃダメだよ。 みんなが澪ちゃんと遊びたい気持ちは分かるけど、これから体育の時間でしょ」 女の子がそう言うと、他の子供達は皆部屋を出て体育館に向かう。 「私、野坂 奈々。よろしくね」 「よろしく……」 そう言って、奈々は手を差し伸べ私はその手を握った。
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