呪詛と憎悪

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奈々と一緒に向かった体育館では、子供達が二人一組で組み手を行なっていた。 「これは……?」 「護身術を習っているの。 魔導師に襲われても大丈夫なようにね。 私達は自分の身は自分で守らなきゃいけないから」 奈々はそう言って悲しげに笑う。 「奈々も、両親を?」 「うん、私は魔導師に親を殺されたんだ。二年前くらいかな。 朝目が覚めたら、二人とも死んでいたの。 私は、魔導師を許さない。 必ずこの手で殺すんだ」 奈々は強い意志を持った目で私を見る。 同じ境遇で集まった仲間だからこそ、共感でき、信頼が生まれ、安心できた。 一日の多くはこの施設で過ごし、日曜は街に出て遊ぶことが許された。 共同生活は大変で、よく奈々と喧嘩もしたけどその分仲直りすればもっと仲良くなれた。 でも、そんな日々も長くは続かなかった。
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