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ある日、奈々がいなくなった。
日曜の外出の後、奈々だけが帰ってこなかった。
他の子に聞いても、誰も奈々の行方は知らないと言う。
すぐに各務原さんが施設に来て、私たちに説明した。
「奈々は死んだ。魔導師に、殺された」
「なんで魔導師に!?」
私達は各務原さんに問い詰める。どうして、奈々が魔導師に殺されなければならなかったのか。
「昨日の街で、偶然に魔導師を見つけて、追いかけた先で殺されたらしい」
「そんな……」
奈々は言っていた。
いつか魔導師を殺すって。
だから、魔導師を見つけた時に放っては置けなかったんだ。
放っておいたら、魔導師がまた罪のない人を殺すから。
だけど。
いくら憎しみを抱いていても、力がなければ何の意味もない。
返り討ちにあって殺されて終わるだけだ。
何もできずに死んでいくだけ。
だから殺された。
なら、魔女や魔導師を殺すために、私は殺されない力をつける。
そして、必ず。
「各務原さん、お願いします。
私に力をください」
私は各務原さんに縋り付いて、そう言った。
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