プロローグ

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 2014年12月24日。  私は、東京都内の大きなショッピングモールの中にある3階まで貫く吹き抜けに来ていた。目の前には、クリスマスソングが流れる中、キラキラと輝くクリスマスツリーが、その吹き抜けの天井まで届くほど高く聳え立っていた。  私の周囲には、そのクリスマスツリーを一目見ようと、大勢のカップルや家族連れがやって来ては、ツリーの前で記念写真を撮ったり、あるカップルは公衆の面前だと言うのに、ツリーの前で抱き合っていたりしていた。そんな中、私は一人でツリーに向かって立っている。  私の隣には、私と同じくらいの若い女性がツリーを背に1人で立っていた。その女性は、自分の腕時計を何度も確認しては周囲を見回している。見ていて、少々落ち着きがない。たぶん、この女性は私と同じだと思う。  しばらくして、その女性の元に、若いイケメンの男性が駆け寄ってきた。その男性を見るとその女性はすっかり笑顔を見せ、その男性と手を握りしめながら、人込みの中に消えて行った。私はそれを目で見送ると、再び目の前のツリーを見て、軽くため息をついた。そして、あの女性のように、自分の腕時計を確認した。ちなみに、腕時計の時間を確認するのは、これで3回目だ。  「あと10分、か…。」 と、私は腕時計の時間を見てボソッと呟いた。  時間と言うのは、ある意味で残酷だ。楽しい時を過ごしているのは一瞬のように感じられるのに、辛い時や何かを待ち遠しい時なんかは時が経つのが遅い。なんか苦痛だ。一秒一秒が長い。でも、その一秒一秒の時を刻むにつれ、私の心臓の鼓動は少しずつ早くなるのが分かる。  私は、先ほどから、この場所で“彼”が来るを待っている。約束の時間は、今から10分後だ。それなのに私は、もう30分もこの場所にいる。私は、いつも約束の時間ギリギリか少し遅れて来るのだが、今日は気合を入れる為なのか自分でもよく分からずに、珍しく早く来てしまった。  いつもよりも頑張ってオシャレして可愛らしくした。上手くいくように願掛けもした。気合も入れている。私にとって今日は人生で忘れられない大切な日にしたい!  そう、私は今日“彼”に、今まで伝える事ができなかった本当の気持ちを伝える為に…。
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