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…ー私のいる中学校にはキラキラと光った王子様がいる。 有坂柊。 文武両道、顔もよく駆け出しのモデルをやっているほど。 教師や友達からの信頼も厚く、その人当たりのいい性格から男子からも女子からも反感を買うことはなく。 女子からは目がハートマークになるほどの熱い視線を送られている。 全校女子ほとんどが彼に視線を向けるなか、例外がここに一人。 ー…それが私、東野愛莉。 どこをどうとってもすべてが平凡。 そんな彼とは住む世界が違う私が彼に関心を示さないのはごく普通のことだと思う。 仕方ないじゃない。 彼のキラキラした笑顔には勝てない。 その笑顔の代わりになるようなものも何一つとして持っていない。 だから。 私は教室の隅で、今日も一人。
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