最低最悪の王子様。

１

別に友達がいない訳じゃない。

ただ、ずっと友達と一緒に行動したりしているその神経が理解できないだけなんだ。

そんなことしたらまるでプライベートを犯されているようでまさに気持ち悪いって思う。

こんな考え方をしている私の方が変わっているのかな。

そんなことをボーッと考えながらペラペラと読んでいる小説の１節を指をなぞる。

『ー…人間と言うものは、不気味な生き物だ。

一人だと寂しいと言う感情になり、

周りに人がいると楽しい、嬉しいと言う感情になる。

それを自由に表現することができるのは、人間の特権だ。

そして異性に興味を持ち、好きと言う感情を持つ。

人間のなかで一番面倒くさいのはこの『恋愛感情』だろう。

これほど人の心を掻き乱す感情は存在しない。』

フッと顔を上げて窓を見ると一人で中庭に有坂柊。

…珍しい。