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こんな風に過去の話として思い出すのは、そんな彼女が、死んでしまったから。
もともと心臓の弱かった彼女は、そんなことを、常に考えていたのかもしれないが。オレはそんなことなんてさっぱり知らずに、一緒にいた時間が長かったにも関わらず、奇跡的にその事実を知ることが最後までなかった。
あの大学一年の冬。オレは初めて、他人に対して、哀れんで、悲しくて、泣いた。
初めて、自分の世界じゃない世界に心底こだわって、絶望した。
漫画やドラマじゃあるまいし、死んでしまうなんて、有り得ない。けれど、何故彼女だったのか、何故、彼女でなければならなかったのか、そんな理不尽はあって、彼女はこの世を去った。彼女はよく笑って、よく泣いて、よく、笑った。そんなことばかり思い出す。
オレはその冬、人生で一番、泣いた。
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