甘くて苦しい香り

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『梓、カレシと高校が違って不安じゃない?』 『向こうも共学だしね』 『私だったら絶対不安だなぁ』 そんな言葉を友達から投げかけられるたびに、苦笑しか浮かばない。 ――不安は、特になかった。 その気持ちを伝えると、 『なにそれ、カレシを信用してるんだね』 『ゴチソーサマ』 なんて冷やかされたけど、信用しているとも少し違う気がした。 まっすぐな涼太のことを確かに信用はしている。 だけど、恋をしていたら、例え信用できる彼だとしても、不安になるものなんじゃないだろうか? 周囲の友達たちが真剣な恋をしている姿を眺めながら、自分の気持ちに疑問を持ち始めていた。
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