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あの時のキスを身体が思い出したように、全身が心臓になっているように感じた。
謝りたい?
呆然と電話を手にしていると、
「梓?」
と涼太が不思議そうに顔を覗き込んだ。
「あ、ごめん。
と…友達に何かあったみたいで、急に会いたいって、だから今日はもう行くね。
すみません、お邪魔しました」
と慌ててカバンを手にして、まるで逃げるようにリビングを出た。
どうして、私はこんなに急いでいるのか。
どうして、そんな電話を無視しないのか。
心よりも先に、
身体が動いている感じだった。
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