その笑みの向こう側

2/28
596人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
――― ――――― ―――――――― 「こうして、ちゃんと来て…… イイ子だな、梓」 と私の手首を優しく引き寄せて、身体を抱き寄せた。 間近に見える彼の肌。 残された行為の痕。 乱れたベッド。 そう、彼は少し前まで、ここで誰かを抱いていたんだ。 そう思うと、煮えたぎるように熱く、苦いものが込み上がる。 咄嗟に彼の身体を力一杯押した。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!