瞳の奥に映るもの

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涼太はそのまま、自分の家を見上げ、 「……この家は会社の持ち物だったから、出て行かなきゃならなくてさ」 と自嘲気味な笑みを浮かべた。 「……涼太」 「オヤジとお袋は離婚するって言うし……本当に、参ったよ」 そう言って笑みを浮かべながら、額に手を当てた涼太に、 私はかける言葉もなく目を細めた。 少しの間のあと、 「……どうして、離婚に?会社を追われたから?」 「いや、オヤジの愛人問題。 マンションに囲ってる愛人が何人かいたことが発覚してさ。 慰謝料問題にもなっていて大変だよ」 涼太は肩をすぼめ、力なく微笑んだ。
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