きっとそれは初恋で
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すれ違った手をつなぎ歩く母と幼い子に目がいく。 あんな風に母親と手をつなぎ歩いたことなんてなかった。 いつも彼女は酔っ払い、定期的に違う男を連れ込んでいた。 決して長続きはしないのに、男を切らさなかった。 その中に、あの男がいたんだ。 「――涼太、たくさん食べろよ」 雑踏の中、どこからか不意に耳に届いた、聞き慣れた声。
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