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「施設のセンセイだよ」
面倒な詮索をされる前に簡単に答える。
「それって初恋の相手とか?」
好奇心に目を輝かせる彼女に特に何も答えなかった。
そうなんだろうな。
きっと初恋だったのかもしれない。
『久弥くん、お母さんが出て行っちゃったなんて、つらいね、つらかったね』
そう言ってボロボロ涙を流して抱き締めてくれた養護施設の新米先生。
いつも感情剥き出しで、綺麗ごと全開で。
『あんな風に可哀相がるのはどうかと思いますよ』
なんて先輩によく怒られていたな。
それなのにめげずに、
『子ども達を私の実家に交代で泊まらせてあげたいんです!
家庭の温かさを教えてあげたいんです!』
なんて無茶な提案をして、また怒られていたり。
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