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穢れなき白の上
誘うなだらかな稜線
完璧な線でのみ作られた美が
そこに在る
つぶらな瞳が俺を見上げる
顔を寄せれば鼻をくすぐる
甘い香り
本能を刺激する
そっと手を添え
朱に染まる耳を
指先で優しく擦る
そうすれば予想を裏切らず
より華やかに艶を増す
堪らず
甘く噛む
次の瞬間には意を決し
なお強く
それこそ歯形を残すつもりで
かじりついた
「痛っ」
呻き声が放たれた
「歯周病?
そんなんじゃ口臭キツくて
女子に嫌われるよ
キス何て
一生無理
オマケに早々と死ぬよ
心筋梗塞とか
脳梗塞
動脈硬化の原因に
なっているらしいからね」
姉が
容赦無い口撃を
叩き付けて通り過ぎた
オーバルの白皿には
歯形を付けた
ウサギ林檎
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