第1章

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村西君は大学時代からの旧友だ。 九段下の男子高校を卒業後、 ストレートで東京大学文科一類に入る。 外交官一直線で大学4年、21歳の時に 国家公務員Ⅰ種一次試験をパス。 しかし2年連続、 最終前面接で夢に敗れた。 挫折を知らない彼の飄々とした振る舞いは、 百戦錬磨の面接官を口説くに不十分だった。 確かに彼には何不自由なく育った奔放さがあり、 麻布や灘、慶應義塾高校を出た者にありがちな 男子校を生き抜いた泥臭さがない。 180センチ近い長身で中肉中背。 ファッションはアルマーニエクスチェンジや、 アメリカンイーグルが多い。 天真爛漫さは個人投資家として 世界を飛びまわる父親譲り。 顔立ちは男女雇用機会均等法第一世代で 上場企業の役員を務める母親似の大和顏だ。 年の離れた姉の存在が、 興味がない割に小綺麗な服装や、 女性に対する失礼のないマナーを形づくっている。
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