第1章

5/5
前へ
/5ページ
次へ
福岡生まれの私は、 高校時代に1年間留学し 19歳で慶應の法学部政治学科に進む。 典型的な「御上り学生」で、 地元では小学校から両親の送り迎えで私立女子校で何も不自由がなかったけれど 東京では経済力も個性も女性としてもごくごく中の上。 祖父は農家から林業に転じ一代を築いた土地成金だが、 父は次男でおっとりした性格。 おまけに男児に恵まれず会社の重役には就かず 静かに祖父の不動産を運用していた。 見合い結婚の母は舅と折が合わず、 適度な距離を保ち看護師に復職し、 それから私と妹に一層愛情を傾けた。 ワーキングマザーの母と自由業の父という共通点のお陰で 自然と仲良くなったのかもしれない。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加