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「あっ!」
「あっ!」
琉一朗と亜季奈はお互いを見て驚いた。
「昨日の・・・・・・」
亜季奈はコートを脱ぐのを忘れたまま呆然と立ち尽くす。
「あっ、あの・・・・・・」
琉一朗も驚きを隠せなかった。
「なんや知り合いかいな」
コップの水を亜季奈の前に置きながら、奈津帆が言った。
「き、昨日」
「昨日なんですけど」
亜季奈と琉一朗が同時に話を始める。
「同時に言ったら分からんわ!」
奈津帆のツッコミが飛ぶ。
「昨日」
「あのですね」
また二人の言葉がかぶる。
「あんたらな」
奈津帆は呆れたように言う。
「そんなに気が合うんやったら、いっそのこと二人付き合ったらどないなん?」
奈津帆の言葉に亜季奈と琉一朗はお互いの顔を見合わす。
「い、いや」
「僕も、あの」
またもや二人の言葉がかぶる。
「先にスマートフォン、返したら?」
奈津帆の言葉に二人は弾かれたように同じタイミングでスマートフォンを取り出す。
「行動被ってるし。いい加減お互い認識しーや」
奈津帆は呆れ気味で言う。
「すいません」
「こちらこそすいません」
互いにスマートフォンを交換し、自分のそれの電源ボタンを押した。
「充電されてる」
「充電してくれたんですか」
二日経ったら電源が切れてしまい、会ったときにすぐに起動できないことを考え、お互い充電器でフル充電していたのだ。
「めんどくさ! もういい加減観念して付き合いや!!」
奈津帆は怒りに任せて、二人に交際を迫る。
「はい、あの、よろしくお願いします」
頭を下げる亜季奈。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
頭を下げる琉一朗。
とガツンと何かが響く。
「痛っ!」
「痛っ!」
頭の下げるタイミングも同じだったので、二人の頭が激突したのだ。
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